官能評価と機器データの相関付け



官能分析システムで得られるデータは、相対的なものです。

電子嗅覚システムや電子味覚システムといった官能分析システムを利用するメリットは、 風味に関して客観的かつ再現性良く評価することができる点であり、ヒトの感覚の完全なる置き換えを目的としたものではありません。
ヒトの感覚も機器で得られる結果もいずれも相対的なものであり、ある1サンプルの官能属性(甘味や魚臭など)が機器で数量化されたとしても、 それは必ず何かと比較されない限り、一体どのくらいの甘さなのか、どのような種類の臭さであるかを第三者に説明することはできません。つまり、相対的に基準となる指標が必要となります。


官能分析システムにおける基準とは?

官能分析システムによる機器データを商品開発、品質管理の場面で活用するために、 官能評価の機会は避けられません。風味分析において、官能評価がプライマリテクニックであるべきことは、実際に対象試料となる食品や飲料などを口にするのがヒトであることから明らかです。 つまり、次のような場合における「におい」または「味」の基準は、機器ではなくそれを導入した企業、評価試料の取引相手、または実際の消費者によって決まるものです。


知覚を表現する用語の選択 官能評価により、試料の官能特徴を代表する用語をつくり、 相関関係を構築することを推奨します。
強度に関するスケール 嗅覚や味覚に絶対的な尺度はありません。 システムは、一貫性のある相対的な尺度を与えます。
商品開発におけるターゲット ベンチマークに対する大規模なスクリーニングにより、商品開発のスピードアップを支援します。
賞味期限や消費期限 センサー出力の変化が、賞味期限の設定に関する“ヒント”を与えます。
品質管理の受入・出荷基準の限界値 品質の許容範囲は、各社様々で、自社基準をつくります。

官能評価と官能分析システムの回帰プロセス

目的に応じて、適切な官能評価手法をとることが必要です。
アルファ・モス・ジャパンでは、そのひとつの手法として定量的記述分析法(QDA)の導入を提案をしています。


焙煎条件(温度・時間)によるピーナッツの風味評価

QDAによる官能評価
  • 試料に適したパネルの選択:12名
  • 試料を表現する用語の抽出と定義付け:17個
  • 繰り返し評価:15種類 x 3反復
用語だしと定義付け

官能分析システム(におい、味、見た目)による測定とデータの統合

ヒトの知覚は中枢レベルで様々な相互作用が働きます。外観や香り成分が、ヒトの感じる「味」に大きく影響することは、すでに多くの報告があります。そこで弊社では、各種官能分析システム(におい、味、見た目など)で測定したデータを統合し、評価用語と最も相関が得られる変数の組み合わせを求めます。

ここでの変数とは、センサー(電子嗅覚・味覚システム)、保持時間(フラッシュGCノーズ)、カラーコード(ビジュアルアナライザー)です。アルファ・モスの官能分析システムは、共通のプラットフォームを使用しているため、統合したデータ解析を容易に行うことが可能です。


味+におい+見た目の測定データ統合

PLS回帰分析による未知試料の官能評価スコア予測

統合データの変数と官能評価スコアから、PLS回帰分析により予測式を構築し、未知試料の官能評価スコアを予測することが可能です。
下図は、4種類の官能属性(深煎り香、生豆臭、苦味、木の皮の匂い)についての回帰モデルを示しています。これらの官能属性は、あらかじめ官能評価によって開発された用語に基づいており、 PLS回帰分析によって官能評価スコアと統合データ(味・におい・見た目)変数との相関を確認しているため、UNKNOWNサンプルについて求まるスコアも、ヒトの知覚強度を十分反映したものとして見なすことができます。



PLSによる回帰式を利用して得られた予測値は、2次元や3次元のマップで表現することも可能です。アルファ・モスの測定・解析ソフトウェア AlphaSoftには、豊富な統計手法が含まれており、データの視覚化を完全サポートします。

においライブラリによる化合物とにおい属性の検索

におい分析にフラッシュGCノーズ HERACLES IIを用いた場合、においの違いに寄与するピークを保持指標&においライブラリで検索することで、その化合物とにおい属性を確認することができます。また、官能評価で開発された用語と成分濃度の相関付が可能になります。

化合物とにおい属性の検索

官能評価と機器データの相関について、ご相談ください。

官能評価に費やすことができる人や時間が限られていることを考えると、機器分析の役割は十分見込まれます。安定性試験などで多くの試料を連続して評価する、商品開発を続行する試料をプロトタイプの中から絞り込む、そして品質管理においてルーチン比較を行うなどは、機器を活用して最も費用対効果が期待できるアプリケーションです。
アルファ・モス・ジャパンでは、官能評価のコンサルティングを通じて、お客様の複数の試料の官能評価データをつけた、機器導入時データベースサービス(オプション)をご提案しております。 詳細については、お気軽にお問い合わせください。


ページのトップへ戻る